2月1日より
企画展「 坂本龍馬の生きた時代 」
を開催中です
5月17日で終了の予定となっていましたが、
展示期間を延長して
9月22日まで開催しています
今回の企画展ではさまざまな展示を通して、
坂本龍馬が駆け抜けた
幕末という時代に迫ります
前回のブログその1(こちらからご覧ください)では
出版物によって、様々な情報が
身分を越えて広まることによって、
お殿様が支配する江戸時代の在り方にも
少なからぬ影響が及んだ可能性がある事を
見ていきました
しかし出版物やそこに記されている内容は、
本当に身分を越えて
広まっていったのでしょうか?
その1で取り上げた
『 太平記評判秘伝理尽鈔 』
(たいへいき ひょうばん ひでん りじんしょう)
( 以下『 理尽鈔 』 )
を例に確かめてみましょう!
この絵は、
歌舞伎『 仮名手本忠臣蔵 』
(かなでほん ちゅうしんぐら)
の一場面を描いたものです
主君の無念を晴らすために家臣たちが立ち上がる、
という有名な題材ですが、一体どこに
『 理尽鈔 』との関連があるのでしょうか?
この『 仮名手本忠臣蔵 』の題材となった
赤穂浪士討入事件は、
江戸時代の中ごろに起きた事件でした
当時の人々は
主君の無念を晴らすために尽力した
赤穂浪士たちを称賛し、
演劇をはじめとした創作物で
事件の顛末(てんまつ)を
表現しようとしました
しかしここで、1つの問題が生じます
江戸時代は
幕府の政治批判などを行わせないように
創作物に規制がかけられており、
タイムリーな話題を取り上げることは困難でした
堂々と公開するためには一工夫が必要ですね
そこで使われた手法が、
時代設定を変更し、
過去の出来事であるかのように
表現することでした
そして使われたのが
『 太平記 』をはじめとする「 太平記物 」で、
特に『 理尽鈔 』の世界観です
『 仮名手本忠臣蔵 』では登場人物が、
江戸時代の人物から
南北朝時代の人物へと
置き換えられ、
その上で、討入事件の様相が描かれます
また規制を免れるだけでなく、
多くの人が知識として持っている
『 理尽鈔 』の内容を踏まえる事により、
登場人物の構図を
分かりやすくすることができるという点でも
『 理尽鈔 』の世界観は魅力的でした
現在でもパロディやオマージュといった
元ネタを前提とした手法がありますが、
元ネタを知らないと
あまり楽しめませんよね
『 理尽鈔 』は人々に広く知られている
有名な元ネタとして確立していたのです
元々限られた人(お殿様など)にしか
知られていなかった『 理尽鈔 』の内容は
『 仮名手本忠臣蔵 』を観劇する際、
ある種の前提となるほど、
庶民にも広まっていたことが分かります
このように
『 理尽鈔 』をはじめとした出版物は、
着実に身分を越えて
様々な情報を広めていったのです
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