企画展「坂本龍馬の生きた時代」の内容紹介〈その3〉

 

企画展「 坂本龍馬の生きた時代 」は

昨年10月18日に終了いたしました

 

多くの方のご来館誠にありがとうございました!

 

期間が空きましたが、今回のブログでは

展示していた資料

太平記評判秘伝理尽鈔』(以下『理尽鈔』)

を引き続き紹介します

 

前回のブログ(2020年6月21日投稿分)

「企画展の内容紹介その2」では、

出版された書物が身分を越えて

広まっていったことを

理尽鈔』をもとに確認しました

 

今回は、身分を越えて広まった後の

理尽鈔』に注目します

 

理尽鈔』の最終巻(巻四十)には

  「 非其器者、不可伝授

  (そのうつわにあらざれば、でんじゅすべからず)」

と記載されています

 

この記述から、もともと『理尽鈔』は

多くの人に公開されるものではなく、

限られた人物に人伝いで

伝授されたことが分かります

書名のとおり「 秘伝の書 」と

いった感じでしょうか?

 

「理尽鈔」展示風景

 

 

理尽鈔』は

太平記』の解釈書という面に加え、

政治の指南書という側面も持ち合わせていたことは、

前々回(その1)のブログ

で紹介しました

 

「秘伝の書」であった『理尽鈔』は

出版されることにより、

理想的なお殿様や政治の在り方

といった知識を人々に伝えました

 

しかし、

多くの人々の目に触れることによって

「秘伝の書」として重宝された

理尽鈔』の価値は下がっていきました

 

江戸時代中期の人物で、

武家の儀礼などを研究していた

伊勢貞丈(いせさだたけ)

(享保2〈1717〉~天明4〈1784〉年)は、

 

「 昔は重宝されていたが

  今は出版されているので

  それほど貴重なものとしては

  扱われていない 」

 

と自身の著書(『安斎随筆』)で述べています

 

また、『理尽鈔』の内容が

批判されるような事態も発生しました

 

理尽鈔』では、

「 主君が配下の者に

  思いやりを持って接すれば、

  彼らは主君に恩を感じ、

  命を懸けて仕えるようになるだろう 」

と述べています

 

江戸時代中期に江戸で活躍した

学者の佐藤直方(さとうなおかた)

(慶安3〈1650〉~享保4〈1719〉年)は

この計算高いともいえる

理尽鈔』の考え方を否定し、

 

 「 配下の者は主君から

   与えられた恩に関わらず、

   命を懸けて仕えるべきである 」

 

と反論しています

 

なぜなら『理尽鈔』の考え方は、

恩義を感じない主君には真摯(しんし)に

仕えなくてもよいという

解釈をすることもできるからです

 

彼は世間の人々が

理尽鈔』の考え方に影響され、

お殿様が支配する社会の在り方が

崩壊することを危ぶんでいたのです

 

理尽鈔』は人々にもてはやされ

浸透していく一方で、

その内容が広まりすぎると

既存の社会の在り方を

揺るがす可能性があるとして

一部の知識人からは危険視されていました

 

 

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